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誹謗中傷を受けたら

ネットで誹謗中傷を受けたら

ネット社会では、匿名であることから、日ごろは言えないような誹謗中傷をぶつけてくる人が少なくありません。
もしも、自分が誹謗中傷を受けてしまったら、心のダメージは計り知れないでしょう。
そのようなときは、どう対処すべきでしょうか。

誹謗中傷にあってしまったら

まずはどのような書き込みが犯罪なのか知る必要があります。
次に発見した場合、書き込まれた内容に対し、どのような態度で臨むか考えなければなりません。
書き込んだ相手と戦うなら、どのように手続きを踏んでいくのか考える必要があります。
場合によっては無視をするといった形をとるほうがよいこともあるでしょう。

ネットでの誹謗中傷や風評被害に対して、対策を商売にする業者が増えました。
多くは法人向けですが、個人、法人問わず誹謗中傷を受けているわけです。
ただ、中には知識がないことをいいことに、法外な請求をする業者も少なくありません。
誹謗中傷にあったら、自分でできることは何があるのか、自らも勉強し知識を得てから、専門家に相談することをおすすめします。

法的に問題となる誹謗中傷とは

悪質な誹謗中傷は、法的に問題となります。誹謗中傷がどのような罪に該当するのか紹介します。

名誉棄損罪

特定の相手に対して社会的評価を低下させる事実を提示するものです。
提示した内容が事実であっても、虚偽であっても、相手の社会的評価を下げる内容であれば名誉棄損罪となります。
刑事罰となった場合、3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金が科せられます。

侮辱罪

公の場で第三者を侮辱する行為が該当します。事実の提示は必要なく、身体的特徴をばかにする行為も侮辱罪です。
主に相手を貶める過激な発言が該当します。

脅迫罪

相手の生命や財産を脅かすような発言をした場合、脅迫罪に当たります。
直接対面しないネットにおいても放火や暴力、殺人などを示唆すると脅迫罪となる可能性があります。

プライバシーの侵害

個人情報や私生活の内容、世間に公表されたくない事実を勝手に公の場で発信することです。
氏名や住所などの個人情報だけではなく、個人が秘密にしておきたい事柄もプライバシーに該当します。

誹謗中傷にあってしまった場合の対策

ネットの書き込みが、権利を侵害されるような誹謗中傷なら、書き込まれた側は以下の対策をとることができます。

書き込みの削除を要請する

SNSや掲示板などに誹謗中傷を投稿された場合、まずはその投稿が削除できないか検討します。
投稿の削除を求めるには以下の方法があります。

削除依頼フォームから削除を依頼する

多くのSNSや掲示板には削除依頼フォームが設置されています。
削除依頼フォームがあればそこから、なければお問い合わせフォームから、管理者に対して削除を依頼しましょう。
管理者が対象の投稿に対して、利用者のガイドラインに違反していると判断されれば、削除してもらえます。
投稿を削除してもらうには、一番早い方法です。

自分ですぐに取れる対応なので、まず投稿が削除されればよいという場合であれば、まずはお試しください。
ただし、削除依頼に応じるかは管理者次第なので、必ず削除してもらうとは限りません。

また、削除依頼を行う場合、問題の投稿を削除されると同時に、投稿が行われた際のIPアドレスなどの通信記録も削除される可能性があります。
投降者を特定するにはIPアドレスなどの通信記録が必要です。
投稿の削除だけではなく、投稿者の特定を考えている場合は注意してください。

送信防止措置依頼書による削除を求める

管理者へ削除依頼を行っても、削除してもらえない場合は送信防止措置依頼書を管理者へ削除を要請できます。
送信防止措置依頼書とはプロバイダ責任法に関し、ガイドラインに沿って作成した書式です。
送付方法は管理者によって異なります。また、本人確認に必要な書面として印鑑証明書や身分証明書の写しが必要になるため、個別に送付する方法を確認する必要があるのです。
信防止措置依頼書を受け取った管理者は、再度、違法性の有無を確認し削除します。
この場合でも、最終的に投稿を削除するかどうかはサイト管理者の判断ですので、投稿を削除してもらうとは限りません。

裁判所へ投稿削除の仮処分を申し立てる

上記の方法で投稿を削除されない場合、裁判所に対して投稿削除の仮処分を申し立てます。
仮処分が認められると裁判所から管理者に対して、投稿の削除を命令してもらえます。
仮処分とは仮の処分で暫定のものですが、事実上、裁判所から削除を命じられると管理者は削除に応じざるを得ません。

被害届を出して刑事事件にする

名指しで脅迫されたり、具体的な日時を含めた殺害予告をされたりした場合、刑事事件となる可能性があります。
問題の書き込みが犯罪行為にあたると警察が判断したら、投稿者について操作してもらえるでしょう。
しかし、警察がすぐに動いてもらえるとは限りません。事前に被害の証拠を集めておく必要があります。
また、状況によっては警察の民事不介入により、本人同士による話し合いによって解決を求められることも。
一回の相談で警察が動かなくても何度も相談することで対処してもらえることも。追加の情報があれば何度も相談してみましょう。

投稿者を特定して損害賠償請求

誹謗中傷の投稿者を特定して損害賠償を請求する場合、問題の投稿を証拠として残しておく必要があります。
そのため、投稿の削除申請はできません。誹謗中傷が拡散され、不特定多数に見られることも考慮し、損害賠償を請求するのか検討したほうがいいでしょう。
また、損害賠償を請求するには、投稿者が誰なのかを特定する必要があります。
投稿者が匿名であれば、まず「発信者情報開示請求」という方法で投稿者の個人情報などを特定することになるでしょう。
発信者情報開示請求は、投稿されたサイトのプロバイダに対して、IPアドレスなどを開示するよう求めますが、プロバイダが接続情報を保存する期間は3ヶ月程度です。
ですので、問題の投稿を見つけたら3カ月以内に開示請求の手続きをしなければなりません。
投稿が3ヶ月前のものだと特定が困難になります。特定が難しいからといって投稿を放置するのではなく、早急に削除依頼を行いましょう。

発信者情報開示請求の問題点

発信者情報開示請求をする場合、情報を持つプロバイダへ請求すればいいのですが、すぐ開示されることはありません。
これは弁護士が請求した場合でもです。
なぜかというとプロバイダには個人情報保護法があるためで、違反すると損害賠償を請求され、社会的信用の失墜につながります。
そのため、裁判所からの命令があって初めて開示する体制をとっているのです。
発信者情報開示請求は裁判所を通す必要があり、以下の様な問題点が出てきました。

費用がかかる

裁判所を通さなければいけないので、請求を成功させるには弁護士に相談することになります。
このような場合、弁護士費用が数十万円必要です。
損害賠償請求として相手に支払いを求めることもできますが、必ず請求が認められるとは限りません。
また、相手に資金力がなければ回収も難しくなります。

発信者情報開示請求の問題点を受け2022年10月1日にプロバイダ責任制限法改正が施行されました。

プロバイダ責任制限法改正とは

ネット上における誹謗中傷に対して、より円滑に被害者救済を図るため、発信者情報開示について裁判手続きが見直されます。
これまでは被害者が損害賠償請求をするには、投稿者を特定する必要がありますが、2度の裁判手続きを経なければなりませんでした。
今回の改正で1回の手続きで情報開示請求ができるようになります。
その他にも開示請求できる対象範囲が拡大されました。

ネットの誹謗中傷を未然に防ぐことはできる?

ネットで誹謗中傷を受けると「また誹謗中傷されるのではないか」とトラウマになる人がいます。
自分自身に落ち度がなくても、第三者が「なんとなく気に入らないから」という理由で誹謗中傷してくるので、残念ながら被害を防ぐ方法はありません。
しかし、自分自身がネットを利用する際の意識を変えることで、誹謗中傷のトラブル悪化を防ぐことは可能です。

・相手に攻撃されても言い返さない・煽らない
・過激な発言は控える
・嫉妬されそうな情報は流さない
・個人情報は流さない

誹謗中傷をしてくる人の中には、反応を楽しむ人がいるため、一切、相手せずブロックやミュートすることが効果的です。
普段から過激な言葉も控えましょう。過激な発言が呼び水となって過去の発言を掘り起され、自分が加害者になる可能性もあります。
家族や恋人、友人たちと楽しそうに過ごす様子や、ブランドバッグやラグジュアリーなホテルなどを撮影した画像も、自慢するつもりがなくても嫉妬から誹謗中を受けることも。
相手はどういった経緯から見ているかわかりません。プライバシー設定にしたアカウントから画像や動画が拡散されることもあるので、注意したいところです。

誹謗中傷の削除依頼ができるのは被害者と弁護士のみ

削除依頼は、誹謗中傷を受けた本人か、依頼を受けた弁護士のみができます。
そのため、弁護士以外の業者が報酬を得て本人の代わりに削除依頼を行うと弁護士法違反です。
余計なトラブルを生む恐れがあるため、このような業者へ依頼するのではなく、弁護士へ依頼するようにしましょう。

誹謗中傷にあった場合の相談窓口

誹謗中傷にあってしまった場合、しかるべき機関に相談することも大切です。SNSで誹謗中傷にあった際の相談窓口を紹介します。

違法・有害情報相談センター

違法・有害情報相談センターは、ネット上の誹謗中傷を含む有害情報について、適切な対応を促してくれる機関です。
誹謗中傷に対してどうしたらいいのかアドバイスが得られます。

誹謗中傷ホットライン

企業の有志によって運営された機関です。投稿フォームに誹謗中傷に該当する内容のURLを記載して送ると相談を受け付けてくれます。
相談の結果、基準に達している場合、プロバイダ規約に応じて対応するよう連絡してくれる点が特徴です。

サイバー犯罪相談窓口

ネット上の犯罪を捜査する窓口で、警視庁が運営しています。サイバー攻撃やマルウェアなどに関する相談や、誹謗中傷にも対応しています。